「もっとこうしたらいいのに」を、言える側へ。
設計デザイン
S・N
「建物の内」に惹かれて、設計の道へ
─ まずは、設計を志したきっかけから教えてください。
もともとは大学で建築学科にいたのですが、途中で「自分が本当に興味があるのは、建物そのものより”建物の内部空間”だな」と気づいて。大学院では学校を変えて、工業デザイン系のインテリアデザインの研究室に入りました。空間の中で人がどう過ごすか、というところに関心がありました。
新卒で入社した会社では、スタートはコマーシャルデザインの部署で、ショールームやブライダル施設など、かなり幅広く担当させてもらいました。その後の部署異動で、店舗デザインがメインになりました。飲食や物販が中心で、多店舗展開されていて、なおかつ店舗ごとにデザインを変えていくようなクライアントを担当することが多かったですね。
仕事の内容としては、コンセプト提案、レイアウト計画から空間構成、什器の設計、素材や色の選定まで一気通貫で。小規模な案件は一人で全部見て、規模が大きくなるとデザインディレクション担当・実務デザイナー・サポートという体制を組む、という進め方でした。
─ 不満はなかった、と。
ほとんどなかったです。やりがいもあったし、学べることも多かった。給与にもあまり不満はありませんでした。
ただ、どうしても一人あたりの担当件数が多くなってしまう構造上の理由がありました。一つは、内装は建築に比べて1件あたりの請負単価が小さく、数をこなす必要があること。もう一つは、設計請負のみだと人工計上になり利益率に限界がある。そたのめ、設計施工を一貫で請け負って高利益を出すモデルをとっていました。この2つの要因から、私も、規模を問わず常時10件ほどを並行して担当する状況でした。
「事業の根本から関わりたい」 飲み込んできた、一言がある。
転職を考えた理由
― 転職を考えたきっかけは何だったのでしょうか。
直接のきっかけは、結婚というライフイベントでした。夜間工事が多くて夜に現場確認へ行くのが当たり前でしたし、多店舗展開のクライアントが多かったので全国出張も頻繁で。働き方を整えたい、という気持ちが出てきました。
ただ、理由はそれだけではなくて。もっと事業の川上から関わりたい、という気持ちが、ずっと積もっていたんです。
建築業界って、デベロッパーが事業計画を立てて、そこから建築設計、設備設計、内装設計、テナント、という流れで川が流れていくんですね。
クライアントの要望を叶えることに集中する仕事は、それ自体はすごく面白い。でも、設計を進める中で「本当はこうしたほうがいいのに・・」と思うことがあっても、事業の方針はすでに決まっているので、根本や方向性を変えることはできない。その、もどかしさですね。
もう一つは、リノベーションへの興味です。時代的にも関心が高まっている領域ですが、私自身は学生の頃から興味があって、いつか挑戦したいと思っていました。
決め手は、「事業者の立場で設計に関われる」こと
― 数ある選択肢の中で、リアルゲイトを選んだ理由を教えてください。
一番はやはり、プロジェクトマネジメントとして、設計と事業管理の両方に関われることです。事業計画の段階から入って、事業収支を見据えながら設計を考えていく。まさに川上から関われるポジションでした。
もう一つが、リノベーションの”深さ”です。表層を替えるだけの改修ではなく、躯体や設備までしっかり手を入れる。そこまでやれると、設計者としてやれることの幅が一気に広がるんですよね。そこに強く惹かれました。
― 実際に入ってみて、前職との一番の違いはどこにありましたか。
時間をかけるべき場所が、変わりました。
前職は10件並行でしたが、今はメインで3件、加えてアソシエイトが動いている案件を3件ほどチーフとしてサポート・チェックしています。一件あたりの規模は大きくなり、一件あたりにかけられる時間も増えました。一物件に集中できるのは、率直にありがたいです。
これが実現できるのは、会社の収益構造の違いも大きいと感じます。一般的な設計事務所のように、設計費などの人工収益型のビジネスだと、どうしても案件数を追う必要があります。一方、リアルゲイトは物件の賃料収入や売却益が事業の柱です。単純に開発案件数が会社の利益という構造ではないからこそ、一物件にしっかり時間をかけて品質を高められる環境が成り立っているのだと実感しています。
そして何より、事業収支を踏まえた上で設計を考えるようになったこと。「この区画割りで収支が合うのか」「ラウンジにどれだけ面積を割くべきか」というところから議論に入れる。設計者として問題提起ができて、企画として一緒につくっていける。事業者目線が求められる分、責任は重くなりましたが、やりがいは確実に大きくなりました。
プロジェクトはこう進む — 部署をまたぐ"連携プレー"
― プロジェクトの進め方を教えてください。
まず事業戦略部と企画営業が物件を仕入れてきます。プロジェクトが決まると、事業サイドと設計サイドでどんな物件にするかを企画していく。
企画営業が市場調査からターゲットやリーシング戦略を決め、それに対して設計がデザインの方向性や区画割り、ラウンジの構成を提案してブレストしていきます。
方向性が固まったら営業が事業収支を組み、合わなければ区画割りやラウンジ面積を調整してレイアウトを組み直す。並行して設計が図面を取りまとめ、細部を詰める。概算見積もりで収支を検証し、実施設計としてまとめて、解体工事へ。現場が始まってからも、設計メンバーは現場定例に出て施工会社と直接やり取りします。
案件によっては、外部のデザイナーの方と組むこともあります。ただ「お任せする」わけではなくて、その物件をどういう場所にしたいのかという方向づけは、私たち設計と企画営業でつくる。そこを握った上で一緒に手を動かしていく形です。社内外を問わず、いいものをつくるためにチームを組む、という感覚が近いですね。
プロジェクトの期間は、以前は半年前後でしたが、最近は物件規模が大きくなってきたので、設計4〜5ヶ月・工事4〜5ヶ月で、全体10ヶ月前後というのがここ2・3年の平均です。
― かなり速いですね。なぜそのスピードが出るのでしょう。
一つは、いいと思った場所を、できるだけ早く街に出したいという会社の意思が強いこと。物件を仕入れてから開くまでの時間は、そのまま「その建物が使われずに眠っている時間」でもあるので。ここは全社で共通した感覚があります。
もう一つは、部署間の連携プレーです。
通常はフェーズごとに区切って進めますが、リアルゲイトは複数のフェーズをラップさせて同時進行させます。当然その過程で変更は出ますが、「都度調整していく」という前提で全員が動いている。だから止まらない。何か起きたらすぐチャットが飛び、その場で解決していく。こうしてその場の判断や変更を社内で迅速に対応できるのは、自社で事業を推進する事業会社だからこその強みですね。
ただ、速いだけの会社ではないと思っていて。収支は常に見られていますし、合わなければ企画に戻して組み直す。数字に対しては、かなりシビアな環境です。
蓋を開けてみないと、わからない
― プロジェクトの進め方を教えてください。
改修案件なので、解体してみて初めてわかることがすごく多いんです。テナントさんがギリギリまで入っていて、退去してすぐ現場を見る、というケースも多い。実際に現場の環境を見て、初めて感じることもあります。事前に建物の状態を完全に把握することはできません。だから設計を進めていても、解体後やスケルトン状態で見た時に「実際は違った」となる。その変更調整が、一番の山場です。
― 忙しさの波は読めますか。
ある程度は心づもりができる波で来ます。事業収支を考える基本構成のタイミングと、実施設計から着工、特に解体が始まって現場が動き出してからですね。
残業時間で言うと、忙しくない時期は月10〜20時間ほど。繁忙期でも40時間台に収まることが多いです。前職はデフォルトで月30〜50時間に加えて夜間の現場確認や全国出張がありましたから、生活は明確に整いました。
こんな方と一緒に働きたい
― どんな方がリアルゲイトの設計デザイン部に合うと思いますか。
正直に言うと、「デザインだけをやりたい」という方には、少しもったいない環境かもしれません。リアルゲイトは事業者目線で設計に関わるポジションなので。逆に言えば——
- 設計をしている中で「もっとこうしたらいいのに」と思ったことがある方
- 意思決定の深い部分まで踏み込めず、もどかしさを感じてきた方
- 図面を引く前の、”企画”や”ソフト”の部分から詰めてみたい方
- 自分が設計した物件がどう使われるかなど、竣工後の運営フェーズにも興味がある方
こういう方には、これ以上ない環境だと思います。事業会社の設計者は、問題提起ができる。そして、その提起がそのまま企画になっていく。話の中に入っていけるんです。
求める経験としては、設計デザインを一通り経験されていることは、やはり重要だと思います。逆に、業界は内装設計に限らず、建築業界全域で設計をされてきた方であれば、経験は十分に活きると思います。
― 最後に、この記事を読んでいる方へメッセージをお願いします。
一つの物件を、企画から完成まで自分の手で見届けられる。しかも躯体から手を入れて、街の中の建物の使われ方そのものを変えていく。それが1年に一つずつ、実物として街に残っていく。
設計者としてこれ以上の環境は、そう多くないと思っています。
前職の私と同じように、「もっとこうしたら良い空間ができそうなのに」を飲み込んできた方がいるなら。その一言を、ここで言ってみませんか。