一級建築士 【代表岩本が語る 不動産再生のコツ】
東京都心部にて、築古小規模ビルの売却額が急騰中!

Column

仕事柄毎日、東京都心部の売物件情報に目を通していますが、都心部ではマンションのみならず、築古小規模ビルの価格も高騰しています。今回はその要因を考えてみます。

まず要因の一つとして考えられるのは、都心部不動産の地価上昇です。

▲表1
▲表1

東京商業地の公示価格の上昇率から分かるように、ここ3年で大きく上昇を続けています。地価上昇による売却益への期待から東京都心部、特に商業地の物件価格は上昇率が高いと考えられます。(表1)

次の要因は都心部におけるオフィス賃料の上昇です。
特に渋谷区においては賃料が上昇傾向にあり、それに伴い物件利回りも上がるので、当然売却額も上がります。コロナ回復後、渋谷区でのオフィス拡張傾向は強く、今後も賃料は上昇すると考えられます。(表2)

▲表2
▲表2

最後の要因として、昨今の建築費高騰に起因する新築ビルの価格上昇があります。
新築ビルの取引価格が上がる事で、相対的に築古ビルの取引価格も上がります。この辺りは、中古マンションの価格上昇に似ています。

また、これまで新築開発を主軸としていた業者が既存ビルの再販事業にシフトする傾向もあり、築古小規模ビルの需要は増加、価格が更に上昇する要因にもなっています。
賃料が上がり、かつ築古小規模ビルの購入需要の増加で当然に売却額は上がります。都心部の地価上昇・建築費高騰は暫く収まりそうにはなく、この傾向はしばらく続くと考えられます。

 

一方、地価上昇がみられない地方住宅地などでは既に不動産価格が低下し始めています。
都心部においてもエリアごとに今後、差別化が進むと思われますので注視が必要です。

岩本  裕
一級建築士

1973生まれ、東京都市大学(旧武蔵工業大学)工学部建築学科卒業。新卒で入社した五洋建設では現場監督とアメフト選手として活動。その後マンションデベロッパーにて土地仕入から企画販売を一貫して経験。リーマンショックを契機に、不景気に強いスモールオフィスビジネスに着目し、2009年8月に当社設立、代表取締役就任。一級建築士の知識と運営経験を活かし、東京都心部において古ビルを有効活用する事で多くの不動産を再生。その実績は累計100棟に及ぶ(2024年7月現在)。2023年6月に東証グロース市場へ上場し、新たなステージで挑戦を続けている。趣味はパワーリフティング(ベンチプレスは155kg)とバスフィッシング。

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