一級建築士 【代表岩本が語る 不動産再生のコツ】
イラン情勢で高騰する建築費。「持続可能な選択」とは?
Column
これまで上昇を続けてきた建築費は、今、さらなる高騰の局面にあります。国内の人手不足や輸送費の増加、円安に伴う原材料価格の上昇に加え、緊迫する中東情勢による「原油高」が追い打ちをかけています。原油価格の上昇は、ナフサを原料とするビニール製品や樹脂、塗料といった建材から、製造や輸送に関わるエネルギーに至るまで、建設のあらゆる局面でのコスト上昇を引き起こしています。
今後、景気後退により企業の設備投資や個人の住宅購入の動きが鈍化すれば、一時的に建設需要の減退に伴う、建築費の下落要素も考えられますが、慢性的な人手不足や原材料価格の高騰といった要因が重なっている現状では、今後も建築費の上昇は避けられないでしょう。(表1)
日本の都市開発の主流であった「スクラップ&ビルド」の手法は、もはや限界に来ていると言わざるを得ません。
計画から完成まで5年~10年を要する大規模再開発などは、先読みできない景気変動リスクに晒され、適正な見積もりを出すことすら困難な状況にあるからです。
かねてより私は「建物を100年以上にわたって使い続ける街づくり」の重要性を説いてきましたが、今こそ私たちが提唱する「100年都市・建築プロジェクト」の考え方が必要とされているのではないでしょうか。既存の建物を活かす再生モデルは、新築と比較して着工までの期間が圧倒的に短く、解体や新設に伴う資材コストも大幅に抑えることが可能です。また、解体・建築工程や環境問題における負荷も少なく、現代のニーズに合ったビジネスモデルです。
しかし、建物再生に特化した企画や技術力を磨くには相応の時間が必要であり、建物再生に対する法整備もまだ十分とは言えません。例えば、大規模新築時のみに適用されている「容積の割り増し」を再生モデルにも適用することや、借地借家法の見直しなど、建物再生を推進するための官民一体となった取り組みが不可欠です。
建築費の更なる高騰という厳しい局面を迎えた今だからこそ、その本質を問い直す重要な時期に来ているのではないでしょうか。
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