一級建築士 【代表岩本が語る 不動産再生のコツ】
築50年越えの築古ビル、リノベーション後の満室から更に14%の賃料上昇!

Column

不動産業界では、「新築プレミアム」という言葉をよく耳にします。特に賃貸物件では新築時に賃料を一番高く設定でき、その後は設備の老朽化と共に賃料が下落する傾向にあります。では、築古ビルをリノベーションした場合、その後の賃料はどうなるのでしょうか?
今回は、リアルゲイトのマスターリース物件を一例に、リニューアル後の賃料変動をまとめてみました。

 

青山一丁目にある1973年築の 「PEGASUS AOYAMA」は、元々平均150㎡ 30区画の外国人向け高級賃貸マンションでした。2011年の東日本大震災の際にほぼ全空室となった事をきっかけに、2012年に当社がマスターリースを行い全面改装しました。その後、約11年が経過しています。

 

この11年間の賃料推移ですが、まずは2013年10月に満室となりました。
老朽化した住宅をスモールオフィスとする事で坪2.42万円にて満室となり、その後の推移はグラフの通り、多少上下を繰り返しながらも上昇傾向で現在は坪2.76万円とトータルで14%の賃料上昇となりました(表1)

▲(表1)「PEGASUS AOYAMA」11年間の賃料推移
▲(表1)「PEGASUS AOYAMA」11年間の賃料推移

築40年でリノベーションした物件が、築51年までの11年間、賃料上昇を続けた要因としては、まず直近2年での賃料上昇率が高く、都心全体のオフィス、シェアオフィスの賃料相場が上がったことが大きく影響していると思われます。

 

次にこの物件が唯一無二のヴィンテージ物件であり、一定数このような物件を好む方が居る事、屋上や外装などの共用部を5年に一回程度改装し、設備の老朽化対策を行うことで物件の高稼働・高単価へ繋がっていると思われます。

 

新築物件は完成後のリースアップ賃料が一番高く、その後は賃料が下落する事も珍しくはありません。
一方、築古物件は年数が経過しても、古さ自体が大きなマイナスになる事が少なく、どこか古さを敢えて残すという建物の個性を活かしたデザイン面での工夫や、安全対策を施し、運営面、日々の修繕などをしっかりと行えば、他に無い希少価値のある物件となり、通年で満室稼働、賃料の上昇も可能となります。

 

ワインの様に、古くなるほど価値が上がる。そんなヴィンテージ物件が増えると良いですね。

▲1973年築  高稼働・高単価を維持する「PEGASUS AOYAMA」
▲1973年築 高稼働・高単価を維持する「PEGASUS AOYAMA」
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