【代表岩本が語る 不動産再生のコツ】
2023年オフィス大量供給時代 ~築古中小ビルはどう生き残るのか?~

Column

森ビルが東京23区の大規模オフィスビル※を対象にした市場動向調査によると、22年の供給量は48万平方メートル、23年には128万平方メートルと3倍近くに拡大する予定とのことです。(※事務所延床面積10,000㎡以上)都心部でのビル大型化と大量供給が進む中で、足元の稼働率は低下しています。既存ビルでは、テナント引き抜きによる「2次空室」「3次空室」が懸念されています。
今回はそんなオフィス大量供給時代に、築古中小ビルが生き残る方法をお話したいと思います。

▲築45年、倉庫兼事務所ビル1棟をリノベーションしたTHE WORKS
▲築45年、倉庫兼事務所ビル1棟をリノベーションしたTHE WORKS

最新の大規模ビルは高額な賃料ですが、セキュリティや防災性能、天井高や内装グレード、さらには環境への配慮とあらゆる面でハイスペックな場合が多く魅力的です。また複数のB級ビルを借りているテナントからすると、最新のA級ビル1フロアに拠点を集約することで、業務効率化や社内コミュニケーションの促進など多数のメリットがあり、既存ビルからのテナント引き抜きがあるのも納得です。

そんな中、築古中小ビルが中途半端なスペックのリノベーションを施したところで、最新ビルに敵うはずはありません。しかし、独自の企画や運営面で築古中小ビルにしかできない魅力を全面に出すことで、一定の賃料や稼働率を保つことは可能だと考えます。
では、築古中小ビルならではの魅力やメリットとは具体的に何でしょうか?

 

一番に上げられるのは「自由度」だと思います。コンクリート打ちっぱなしのシンプルな空間に、自由な内装デザインを加えた仕上げは誰もが憧れます。自由度の高い内装を実現するのに、新築並みの原状回復基準や保証金が求められると入居意向は一気に減退します。
そのため弊社では一定条件の元、原状回復義務の免除や設計協力など、コストを抑えながらの自由な空間づくりを可能にしています。

その他外観やラウンジ・屋上等の共用部は、ヴィンテージ感を残しつつ、センス良くまとめることが大切です。特に最新の大規模ビルは窓を開けたり、屋上に出ることは困難な場合が多く、築古ビルならではの開放感も大きな武器となります。

▲ハーフスケルトンで自由度のある専有部
▲ハーフスケルトンで自由度のある専有部

最後に築古ビルの留意すべき点として、清潔感や耐震性能などの安全面が挙げられます。最新設備でなくても良いので、常に手入れの行き届いた清潔感ある施設は長く支持されます。また空配管や電力増設など、入居テナントに応じてセキュリティ計画や共用部運用を変更するなど運営面の柔軟な対応も大切です。

築古ビルが賃料を落とさず、高稼働を保つには、表面上のリノベーションだけでなく、ハード面とソフト面の両方における対応がテナントから支持されるカギとなるでしょう。

築古中小規模ビルの有効利活用に関するご相談はお気軽にご連絡ください。

<お問い合わせ先>
株式会社リアルゲイト
住所:東京都渋谷区千駄ヶ谷3-55-18
TEL:03-6804-3944
HP:www.realgate.jp
オフィス検索サイトORDERMADE TOKYO:ordermade-tokyo.jp

岩本  裕
一級建築士

東京都市大学(旧武蔵工業大学)工学部建築学科卒業
大手ゼネコンでは、主にマンション工事の現場監督とアメフト選手として活動、 その後大手マンションデベロッパーと新興デベロッパーにて土地の仕入れから企画販売を一貫して経験。2009年8月、「the SOHO」の運営を機に当社設立。代表取締役就任、2021年7月サイバーエージェントグループに参画、現在に至る。
趣味:週3回以上のパワーリフティング(ベンチプレスは155㎏)、バスフィッシング

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