一級建築士 【代表岩本が語る 不動産再生のコツ】
築古オフィスビル再生「1階店舗を考える」

Column

当社では、300坪~500坪程度の築古オフィスビル一棟を扱う場合が多いですが、各階のオフィス区画割と同様に、重視しているのは1階店舗への優良テナント誘致です。
今回は1階店舗誘致における「優良」の考え方についてお話します。

 

1階店舗を高単価で借りるテナントが「優良」と考えがちですが、1階店舗が低単価でも2階以上のオフィスを高単価で貸すことが出来れば、「優良」と考える場合もあります。1階はビルの顔であり、打合せなどができるデザイン性の高いカフェなどが入ると、オフィスユーザーは利用勝手が良く、それがビル全体の付加価値となり上層階が高単価で貸せる場合があります。逆にオフィスユーザーと親和性の無い閉ざされたテナントが入ると、そのテナント自体が高単価であっても、上層階の単価は上がらず総合的に収支が悪化する場合があります。

図の例では、Ⓐは1階の店舗が坪2万と割安になりますが、2階以上のオフィスを坪2.7万で貸す事で合計1140万。Ⓑは、店舗を坪3万と高く貸していますが、オフィスの坪単価が下がり合計1090万となります。(図1)

▲(図1)450坪の築古ビル再生例 
▲(図1)450坪の築古ビル再生例 

テナントビルであれば、一棟でより高収益を上げる事を望まれますので、Ⓐの方が良い事例となります。バランスを見ながら最適な店舗規模を考え、低単価でも優良テナントを誘致しビル全体の付加価値を上げる選択や、ビル入居者へのサービスや交流会などを実施し、運営面でもビル全体の更なるシナジーを生む工夫が、一棟ビル再生では重要となります。

当社事例である築45年 池尻大橋駅より徒歩7分「ROOTS SQUARE」は、1階店舗のカフェ誘致に成功し、オフィスの坪単価も坪2.9万と築古ビルの再生でありながら高単価を実現しました。

▲1階にカフェを誘致した「ROOTS SQUARE IKEJIRI OHASHI」
▲1階にカフェを誘致した「ROOTS SQUARE IKEJIRI OHASHI」
▲1階のカフェ「BYRON BAY coffee」
▲1階のカフェ「BYRON BAY coffee」

街を歩いていると1階のみテナントが入り、上層階がガラガラというビルを良く目にします。ビルオーナーは、ビル全体でより良い収支を実現する事が目的ですので、1階の顔となる優良テナント誘致には目先の収支より先を見越した計画が重要となります。

 

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岩本  裕
一級建築士

東京都市大学(旧武蔵工業大学)工学部建築学科卒業
大手ゼネコンでは、主にマンション工事の現場監督とアメフト選手として活動、 その後大手マンションデベロッパーと新興デベロッパーにて土地の仕入れから企画販売を一貫して経験。2009年8月、「the SOHO」の運営を機に当社設立。代表取締役就任、2021年7月サイバーエージェントグループに参画、現在に至る。
趣味:週3回以上のパワーリフティング(ベンチプレスは155㎏)、バスフィッシング

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