一級建築士 【代表岩本が語る 不動産再生のコツ】
新築ビル開発延期が続出!? 「建築費の高騰について考える」  

Column

先日、五反田の(仮称)新TOCビル新築計画の着工が延期されました。
建築費の高騰により計画内容が見直されるとの事です。このような大規模開発延期の事例は最近よく耳にします。

 

国土交通省調べによると、東京都における鉄骨造事務所の建築費水準については2021年に坪136.7万円だったものが、2023年には坪204.2万円と1.5倍の高騰となっています。(表1)

▲東京都における鉄骨造事務所の建築費水準
▲東京都における鉄骨造事務所の建築費水準

円安等による資材原価や輸送費の高騰、業界の人材不足と働き方改革など、理由を挙げるときりがないですが、その問題の根本は短期間で収まりそうもありません。東京都心部のオフィスはコロナ禍の悪影響が収まったことで空室率が下げ止まり、渋谷区など一部エリアでは賃料が徐々に上昇し始めた所ですが、その他のエリアではコロナ前水準まで、空室率・賃料が回復していません。

 

賃料の上昇が限定的な中での建築費急騰。
3年~5年先に完成予定の大型新築開発計画が見直されるのもうなずけます。

 

ただ建築費の高騰は、悪い事ばかりではありません。当社では直近1年間で渋谷・目黒区内の約300坪~500坪程の築古ビルを6棟ほど購入する事が出来ました。以前は築古ビルが売りに出た際、新築建て替えのマンション業者などに競り負ける場面が多かったのですが、建築費の高騰により既存建物を利用する当社の収支が上回ったと予測されます。

例えば500坪のビルを新築した場合では、5年前は坪150万円だったところ、現在は坪250万円と仮定すると、5億円の収支インパクトがあります。リノベーション工事費も単価上昇が続いていますが、坪30万円が坪40万円に値上がる程度で、5000万円の収支インパクトとなります。この差額の4.5億円が、最近当社による既存建物購入が進んだ要因の一つだと考えられます。

 

またSDGsの観点からも、使える建物は長く使い続け、個性的な古い建物が立ち並ぶ街並みが増えていく事は良いことだと思います。今後、建物の再利用が増え需給バランスが調整できると、新築工事費の上昇も和らぐでしょう。

 

スクラップ&ビルド一辺倒で進んだ、日本の開発が見直される良い機会では無いでしょうか。

▲2021年竣工 新築ビルで建設した「POTAL POINT HARAJUKU ANNEX」 当時の建設費は坪121.5万円
▲2021年竣工 新築ビルで建設した「POTAL POINT HARAJUKU ANNEX」 当時の建設費は坪121.5万円

 

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岩本  裕
一級建築士

東京都市大学(旧武蔵工業大学)工学部建築学科卒業
大手ゼネコンでは、主にマンション工事の現場監督とアメフト選手として活動、 その後大手マンションデベロッパーと新興デベロッパーにて土地の仕入れから企画販売を一貫して経験。2009年8月、「the SOHO」の運営を機に当社設立。代表取締役就任、2021年7月サイバーエージェントグループに参画、現在に至る。
趣味:週3回以上のパワーリフティング(ベンチプレスは155㎏)、バスフィッシング

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