一級建築士 【代表岩本が語る 不動産再生のコツ】
「100年都市・建築プロジェクト」始動【中編】
環境への貢献と、再生を阻む「二つの壁」
Column
前回、日本の都市開発が「新築一辺倒」から「既存建物の活用」へと舵を切るべき、転換期にあることをお伝えしました。
中編となる今回は、建物を再生して長く使い続けることが、どれほど環境に貢献するのか。そして、その実現のために乗り越えるべき「二つの壁」についてお伝えします。
まず注目したいのが、築古ビルの活用がもたらす環境負荷の低減です。新築建て替えの際には、解体や建設時、資材の製造や運搬を含め、建設工程に至るまで膨大な二酸化炭素(CO2)が排出されます。当社の調査では、既存ビルの構造体をそのまま活かして再生した場合、新築時と比較して、建設工程におけるCO2排出量を約79%も削減できることが分かりました。脱炭素への取り組みが企業にとって欠かせなくなった今、築古ビルの長寿命化は、最も現実的で、かつ有効な環境対策といえます。(表1)
しかし、築古ビルを100年使い続ける道には、乗り越えるべき「二つの壁」が存在します。
一つ目は、「安全面の壁」です。築古ビルを再生活用する大前提は、地震に対する安全性と、建物の耐久性を担保することです。これには、過去の実績に基づいた高度な耐震補強技術や、劣化状況を正確に見極める目利きが欠かせません。単に見た目を綺麗にするだけではなく、建物の「骨組み」そのものを100年持たせるための、確かな技術力が求められます。
二つ目は、「企画・リーシングの壁」です。築古ビルをそのまま貸し出すだけでは、現代のビジネスシーンや多様化したライフスタイルのニーズには応えられません。そこで必要になるのが、新築に比肩する付加価値を与える企画力です。例えば、用途の変更や柔軟な区画割り、共用部の充実など、時代のニーズに即した空間デザインと運営ノウハウを掛け合わせることで、初めて「古さが価値になる」物件へと生まれ変わるのです。
この「安全性」と「企画・運営力」という二つの高い壁をクリアしてこそ、築古ビルは再び輝きを放ち、100年使い続けられる資産となります。
最終回となる後編では、これらを実現するための具体的な戦略、そして社会全体の意識をどう変えていくべきか。プロジェクトの目指す「真のゴール」についてお話しします。
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