一級建築士 【代表岩本が語る 不動産再生のコツ】
稼働率98%でも「意外と多い解約数」―高稼働を支える仕組みとは?―
Column
2025年6月末時点で、当社の既存物件稼働率(注1)は98.7%と高水準を維持しています。提供区画の約88%がオフィスであり、そのうち約70%が20㎡~100㎡のスモールオフィスです。スタートアップ企業や小規模事業者に選ばれることで、幅広い需要を取り込んでいます。(表1)
一見すると「稼働率が高い=解約が少ない」と思われがちですが、実際には直近6か月で全区画の約13%にあたる89件の解約申請が発生しています。とはいえ、ほぼ同数の新規契約が同時に決まっているため、結果として高い稼働率を維持できています。ここに見えるのは、稼働率を支えるための「仕組み」の存在です。
高稼働を維持する最大のポイントは、退去予定区画の再リーシングスピードです。解約が出た際には、すぐに募集情報をWeb上に掲載し、リーシングをスピーディに行います。また、コンクリート打ちっ放しや塗装仕上げなどシンプルな内装を標準化することで、短期間で原状回復が終了し再入居が可能になります。さらに、日常的にテナントと対話を重ね、拡張や借り増しの需要の把握をしておくことも、空室を生みにくくする重要な取り組みです。その一環として、当社では満室後も入居者向けのイベントを開催し、定期的にコミュニケーションを図っています。
スモールオフィスには、数年先の事業計画が読みづらいスタートアップ企業が多く入居しているため、一定数の解約は避けられません。大型オフィスのように解約予告期間を半年以上とすれば、滞納などのトラブルリスクが高まります。だからこそ当社では「スピード」と「柔軟性」を軸に、営業から制作、建設マネジメント、運営管理までの一気通貫で対応できる体制を整えています。各部署が同じフロアで業務を行っているため、具体的な情報共有が迅速に行える環境が整っており、状況に応じたスムーズな対応が可能です。
市場相場から乖離しない価格での供給を前提に、リーシングの即応性やテナントとの良好な関係性を築き上げることで、長期的な高稼働を維持できていると考えています。
(注1):稼働率は、竣工後1年以上経過した既存物件(ML・保有、終了予定物件については除外)が算出対象
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