【代表岩本が語る 不動産再生のコツ】
「コロナ禍で変わる不動産運用」
~テレワーク普及で変化する需要と今後の展望~
Column
弊社は東京都心部を中心に、約60棟のシェアオフィスを企画・運営しています。
これまでは資産価値の落ちた築古オフィスビル・マンションを中心に運用相談がありましたが、この半年でホテルなどその他の用途での不動産相談も増えてきました。今回はその事例と今後の展望についてお話しします。
1.ホステル案件
都心部のホテルは、新型コロナウイルス感染拡大前より既に供給過多な状態となっており、東京オリンピックの延期決定によりインバウンド需要が低下し稼働率が悪化。昨年春の緊急事態宣言時には営業停止となり、そのまま閉鎖するホステルも少なくありません。
規模は200~500坪程度、元々事務所ビルだった建物も多く、シェアオフィスに戻す事自体のハードルは高くはありません。しかしインバウンド需要のあった立地は、シェアオフィス需要としては弱い場合も多く、再リノベーションの際には慎重なマーケット調査が必要です。
▲ホステル(前)→シェアオフィス(後) GREAMS NIHONBASHI
2.サービスアパートメント案件
こちらもインバウンド需要の減退で稼働率が落ち、相談が増えています。建築用途としては住居が多く、一般住宅に戻して稼働率を保つか、スモールオフィスにして賃料を上げるか、あるいは住宅とオフィスのミックス型など、規模により様々な相談があります。
高級サービスアパートメントは、港区など比較的好立地に位置することも多く、スモールオフィスへのリノベーションで大きく収益が改善する場合があります。
▲住宅(前)→スモールオフィス(後) PORTAL Apartment & Art POINT
3.新築大型オフィスビル案件
都心部オフィス立地での現在計画中、新築大型オフィスビル案件。以前は、ワンフロア面積が大きいほど高額で高級なオフィスビルとして評価されてきましたが、コロナ禍でその風潮も変わりつつあります。大型オフィスビルの中に、ビル全体の共用部や、リスクヘッジとしてシェアオフィスを導入検討するケースが見られます。
4.商業施設案件
商業施設内にも、シェアオフィスの導入検討をするケースが増えています。しかし郊外商業施設内のシェアオフィスは、高額な月極での会員ニーズが低く、シェアオフィス自体で収益を上げることは困難です。そのため施設内全体の活性化を図る利便施設として事業者が割り切った考えをしないと実現は難しいでしょう。
▲商業施設(前)→シェアオフィス(後) PORTAL POINT -Ebisu-
最後に、コロナ禍において、シェアオフィスの入居需要が爆発的に増えている訳ではありません。好景気で活発だった起業ニーズや拡大ニーズが薄れ、縮小移転と自宅近くのテレワークニーズは増加傾向にあります。
現在のような経済環境下では、ユーザー側の選択肢も多く、高額なサービスオフィスは避けられる傾向があります。今後は慎重なマーケット調査の上での価格設定・企画のバランスが重要になってくるでしょう。
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