一級建築士 【代表岩本が語る 不動産再生のコツ】
「耐震性」と「耐用年数」の違い。古い建物はなぜ危険?

Column

日本建築学会北陸支部は6月25日、最大震度7を超えた能登半島地震の暫定調査結果を明らかにしました。
①石川県輪島市などを調べた結果、1981年より前の旧耐震基準で建てられたとみられる建物では全壊や半壊が5割を超えた。②2000年以降に強化された現行の基準に基づくとみられる建物では、全半壊が1割未満だったとの内容です。

 

木造建築の法定耐用年数は22年ですので、1981年より前に建てられた建物は、全て法定耐用年数を倍近く超えている事になります。木造の耐久性は実際、使用する木材やメンテナンスでも大きく変わります。私の推測にはなりますが、耐震設計の問題よりメンテナンスや耐用年数超過による崩壊の方が多かったのではないか?と考えています。

 

私達がよく相談を受ける築古物件のS造ビルやRC造ビルでは、法定耐用年数を超えていても、適正な修繕やメンテナンスを行う事で、法定対応年数を大きく超えていても安全に利用できる建物もあります。逆に1981年以降の新耐震基準で建てられた建物でも、メンテナンスを怠っていると、老朽化が進み法定耐用年数内でも安全利用が難しい建物もあります。(表1)

 

▲(表1)「旧耐震基準」と「新耐震基準」について
▲(表1)「旧耐震基準」と「新耐震基準」について

耐震基準はその建物が新築時、特定の強い地震に耐えうる最低限の基準です。耐用年数は、新築時の建物性能を保つ基準になります。耐用年数は適正な修繕やメンテナンス頻度で大きく変わりますので、そこを怠ると新耐震基準で建てた建物でも危険な場合があります。古い建物でも、耐震補強に加え適正な修繕及びメンテナンスにより、維持していくことで安全かつ大きく物理的な耐用年数を伸ばす事ができます。

▲法定耐用年数47年の建物が調査により、物理的耐用年数71年と判断された「AMBRE」
▲法定耐用年数47年の建物が調査により、物理的耐用年数71年と判断された「AMBRE」

よって新耐震基準で建てた建物でも安心はできません。古い建物ほど、多くの地震に耐えてきていますので定期検査と臨時検査も重要となります。古い建物を長く安全に使い続ける為には、耐震基準の新旧で安心せず、日々のメンテナンスとしかるべき投資が必要となります。

 

 

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岩本  裕
一級建築士

1973生まれ、東京都市大学(旧武蔵工業大学)工学部建築学科卒業。新卒で入社した五洋建設では現場監督とアメフト選手として活動。その後マンションデベロッパーにて土地仕入から企画販売を一貫して経験。リーマンショックを契機に、不景気に強いスモールオフィスビジネスに着目し、2009年8月に当社設立、代表取締役就任。一級建築士の知識と運営経験を活かし、東京都心部において古ビルを有効活用する事で多くの不動産を再生。その実績は累計100棟に及ぶ(2024年7月現在)。2023年6月に東証グロース市場へ上場し、新たなステージで挑戦を続けている。趣味はパワーリフティング(ベンチプレスは155kg)とバスフィッシング。

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